Telecasterが、ひとまずできあがり。


さてさてさて。昨年(03)に新品で購入したフェンダージャパンのTL52-80TXですが。どうにもよそよそしく手に馴染まないわざとらしいビンテージ風の色をしたポリエステル塗装が気に入らなくなってしまいました。
気に入らぬなら、気に入るようにいぢる。これも大事なこと、、、、、カモしれません。
さて、具体的な構想としては、「ラッカーで塗り直してレリック加工をする」と。これだけです。

とはいえ、塗装を剥がすのは大変で、一歩間違えば楽器として再起不能になるリスクがあるので良い子のみんなは真似しないでね。
(っつーか、普通の人はこんなことしないな)


まずは剥がします。みーんなバラバラに。取れるモノはとり、取れないモノもなんとかして取ります。
もちろん配線も全バラ。ブリッジプレートはアッセンブリではずしますけどね。
おもむろにぶち剥がすです。ドライヤーをあてて加熱すれば、スクレッパーでめりょっと剥がせます。
でも、時々ボディーに刃が刺さってしまう(*_*)
木目方向をよく確認しつつ少しづつ慎重に進めないとイカンですね。
単純なようでいて難易度はかなり高いと思います。
あかかた剥がし終われば刃物は置いて、サンダーやサンドペーパーで残りを削り落とします。
キャビティーの中はさすがにめんどくさいのでそのまんま。
ちなみに、ココまでに丸二日。手が痺れるぜぃ。

同様にしてネックの塗装も剥ぐ!根性を決めて剥ぐ!ボディーよりもマテリアルを削りやすいので、難易度はさらにアップ!うっひ〜〜〜。

(この辺で「やらなきゃ良かった」とかすかに自分を疑う)

フレットの間は、彫刻刀で丁寧に剥ぐ。ドライヤーを片手にね。

これが結構アッチッチなんですよ。
くれぐれもフィンガーボードを削らないように。
もし削ってしまったら、、、、迷うことなく「レリック加工」にしてしまおう!
(っつーか、この場合はハナからその構えなので、結構ラフだったりする)

剥がしついでに電気的な不具合も修正。ってのは、まずセレクタスイッチね。これ、異様に固いんですよ。ガキっとした手応えは、演奏中の不用意な切替を防ぐ目的か?よくわからんけど、リアに入れてしまうとボリュームノブに近接しすぎてフロントに戻すのが大変。気づかずにボリュームを絞っちゃったりして。
個人的にはもっと軽い方がイイので、CRLみたいなタッチを目指して加工してみました。
っても、単純なやり方です。それは、スプリングとボールでスイッチの節度を決めるタイプなので、その受け側の山をカッターで少し削るだけ。これで「ひっかかり」を少なくしてタッチを変えたのです。
ちなみに、この凄く安っちぃセコイ作りのスイッチも買うと生意気な値段になります(^_^;
ついでのついでにボリュームとトーンのポットも交換しました。
ノーマルのヤツは小さくてタッチも固く、ボリューム奏法を多用する私には「やってられない」状態。
それにしても大きさの違いが凄い。言うまでもなく小さい方がノーマル。大きい方はCTSのヤツ。定番ですね。250Kオーム。
大きさの違いは接点の余裕と直結すると考えますが、タッチが固い事以外には小さくても特に不具合は有りませんでした。
ちなみにポットの差込径が違うのでスイッチプレートの穴を広げなくてはなりません。
さて。撤去したピカピカのほぼ新品部品どもですが。いわゆるエイジド加工を施しました。
なぁんてカッコつけてますが、要は錆を付けるだけ(^_^;
表面の艶を取るには色々方法が有るようですが、場所によっては台所のスポンジのザラザラした固い方みたいなサンディングパッドで磨いてみましたが、、、なんかやりすぎの感が。
そんなわけで、やりすぎない程度にちょちょっとあちこちに傷を付ける感じにしておきます。
で。おもむろに「ボンスター(スチールウール)」を降ります。

で、水を掛ける訳ですね。
これでスチールウールの粉末が凶悪に錆びて、ほんの1日で一面錆びだらけになります!

が。

錆びだらけになるのはほんの表面のみ。拭くと取れちゃうんですね
ぇ、これが。クロームメッキの錆びにくさを体験しちゃいました。

とはいえ、そんな実験をするのが目的ではないので半田付け用のフラックス(早い話が塩酸)を水に溶いて吹き付けました(^_^;

水分が飛ばないようにビニールで養生して蒸らす。
待つこと数日。希望通りに上手く錆びるかどうかはやってみないと解りませんねぇ。
何事も過ぎないように、ちょっと早いかな?ぐらいで酸化を止めるべく水洗いをします。

金属モノはほっといて、塗装です。
ボディーはサンディングして目止めをちょっとして(完璧にはやらない)クリアのニトロセルロースラッカーを吹き吹き。スプレー缶が近所で安く売ってたのでそれを使用しました。
結構厚塗りをします。7〜8回重ね塗り。いわゆる「極薄ラッカー仕上げ」とは対極の仕上げ?

上塗りは薄い白。それにトップには薄いベージュ。よく見ると木目が透けるブロンドフィニッシュ、、、を作りたかったんだけど、微妙に濃い。ま、いいや。

ネックも適当にラッカーで吹き吹き。これも極薄ではないです。

しばらく放っておいた金属モノ。水洗いして仕上がったのがコレ。ブリッジプレートの腐れ具合がなんともよろしいかと。
でも、ペグなんかはあまり錆びなかったのです。う〜ん。
こうなりゃフラックス直塗りか?とも思ったんですが、これはこれでいいかな、っと。適当だなぁ、オレ。
まずは組み付けてみた。あ〜、ぴかぴかになっちゃった。腐れた金属部との対比が、、、悪くないな(^_^;
でも、やっぱりこれではダメっすね。趣旨通りにちゃんと仕上げなくては。

ってなわけで、弦を張って細かいヤスリでフィンガーボードをこすりこすり。コレはいかにも弾いてすり減った状態を作ってるわけです。この段階では削りすぎに注意です。この後の製造過程の写真が無いんですが(済まぬ)、ネックにはちょいとオイルステインを布に付けてこしこしと磨き、汚れた風にしてみました。
で、布にシンナーをちょっとだけ付けて、先に削ったフィンガーボードを磨くと、、、これがなんとも本物っぽい!
(あくまでもポイだけですけど)

ボディはあちこち傷を入れる。削ってみたりひっかいたりね。この辺の入れ加減が肝心です。
っつーか、普通ならわざわざ傷を入れたりはしないけど(^_^;

え〜、そんなわけで(どんなわけだ)後半の写真がございませんがご容赦くださいませ。
ま、あれこれ傷を入れてみたりするのは見ての通りですが、今回の目玉は「ラッカー塗装にウェザーチェックを入れる」なのです。
ラッカー塗装って、年月が経つと表面にヒビが入ってしまうんですが、これって歴史を感じて格好いいんですよ。それを無理矢理作ってしまおうと言うワケなんです。普通は何十年も掛かることを、ほんの数秒で!

やり方は簡単。厚塗りしたラッカー塗装面に、液化プロパンをぶっかける。これだけ(^_^;
そーです、極めてデンヂャラスなやり方ですね〜。絵に描いたような力業です。
死にたくなかったら風通しの良い屋外でやりましょう。当然くわえたばこもドッカーンになりますぜ。

これで一瞬にして表面がピキピキと凍り、あっというまにクラックが入ります。もう一瞬の出来事です。
これを効果的にするためにも、ラッカーはある程度厚く塗る必要があるんです。

でも、今回はなんというか、、、ボディの下塗りのクリアは綺麗に割れたけど、上塗りは塗料の粘度がちがうのか、クラックをカバーしてしまいました。
こんなときは、しばらくしてからドライヤーで加熱すると、ピリピリっと割れてくれます。

ちなみに、本来は冷凍庫で一週間冷やすとか、カッターで一つ一つ刻むとか、偉大なるチャレンジャーによって様々な方法がトライされてきました。そして、フロンガスのような液体系のガスを掛け、気化熱で表面だけ冷凍するという手法が所によっては主力となっているようです。
でもね、手元にフロンとかが無かったんだよね。オゾンホールも増やしたくないし。

そしたら、プロパンガスのちっこいボンベがあったんですよ(^_^;
気化する液化ガスなら同じぢゃん!って、ダメモトで試してみたんです。
(この件について「オレの方が先にやってんだよ、オリジナルはオレだ!」と言う方は是非ともメールください。お友達になれると思います)

本当にやろうと思う人は、様々な覚悟を決め、準備を万端にして臨んでください。もちろん責任の一切はご自身で。

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