GRECO SV-600

マイナーだけど侮れないSV


ひょんなきっかけからGRECO SV-600を入手しました。
ブリッジやピックアップカバーなどは白くサビサビになってはいましたが、全体の状況はかなり良いです。

えっと、ごらんのようにES-335をひじょーに意識したセミアコースティックギターです。
シリアルからは1979年の年末に出荷されたような番号が振られています。

グレコではこの以前からSAというギターが販売されていて、そちらのほうがより335や345に似ています。

このSVモデルは79年に発売されて、81年にマイナーチェンジしてしまいました。よって実質1年ちょっとしか市場に出ていない貴重なギターなのです。
(超不人気モデルとも言う)

79年という年はグレコにとっては激動の年で、GOシリーズに代表される「オリジナルモデル」の発表が矢継ぎ早に行われた年でもあります。
「脱コピーモデル」を目指した時期でもあり、このSVも単なるコピーモデルからグレコが考えるセミアコースティックギターってのを具現化させた物なのかもしれません。

バックはこんなです。ほとんど傷無し!24年間なにしてたんだい、キミは?

ボディのトップとバックはホワイトシカモアです。よく見ると杢目(フレイム、トラ杢)が出ていて綺麗!

ま、ラミネート構造なんだろうけどね。
だって、当時の値段は6万円だもの。物価はそう極端に変わっちゃいない、っちゅーか、今の方が安いぐらいだから、決して高級ギターではありませんので。

セミアコの特徴でもあるセンターブロックはメイプル。ネックはメイプル3ピースでヘッド部分は耳貼りされるGOシリーズの流れです。

セミアコなどはこんなラベルが貼られるのでモデル名などは一目瞭然ですね。富士弦楽器、がんばってます。

トップ材の木口が見えるけど、茶色く着色されていて材は見えませんが、その塗装の浮き加減からはラミネートの特徴が垣間見えます。

ヘッドデザインはもろにGOシリーズの流れ。
当時のグレコが自信をもって主張した部分でもあります。

SV-600はヘッドにバインディングもインレイも入らず、ちと寂しい感じ。SV-800はゴージャスだったなぁ。ゴールドパーツ仕様だったしね。

あたまの裏。こうみるとでっかいなぁ、この頭。本当にラージヘッドだ。

で、それが不人気の原因と思ったのか、81年からのSVはスモールヘッドになりました。デザイン的にはそっちのほうがすっきりしてますねぇ。

一見、見落としてしまいそうな「技」がこれ。ナットが牛骨とブラスで出来ているのだ!当時はブラスのナットがフュージョンブームに乗ってベースで大流行してました。でも、ギターにはどんなもんだろ?サスティンを延ばすためのブラスなんだろうけど、ナットは弦を滑らせないとダメなんぢゃん??

と、開発の人も思ったのかどうか知らないが、ブラスを薄くして張り合わせてあるのです。

音がどうこうと言うより、減りにくそうでしょ(^_^;

特徴的なブリッジ。グレコオリジナルのBR-GO(だっけ?)

チューンOマチックよりもサドルのトラベルが稼げるので調整も楽。サドル自体のガタもなく、とてもしっかりとしたブリッジです。

本家GOではブリッジの下にブラスのブロックが埋め込まれてたりしますが、これはアンカーだけです。

テールピースも当然のグレコオリジナル。

ネックジョイントはセットネックで、富士弦お得意の丸棒つっこみジョイント。東海ファンが嫌うところですね。

見てくれはともかく、しっかりがっちりくっついてます。

キャビティーはこんな感じ。Fホールから配線する都合からか、リアピックアップのワイヤが妙に長いです。

で、ピックアップはなぜか「PU-2」が2発マウントされてます。これってSV-800の標準では?SV-600は「U-2000」だったはず。

大した違いは無いとは言え、ちょっと得したような気分(^_^;

コントロールポッド。配置はギブソン通りの2VOL.2TONEです。

ノブは、これまたグレコオリジナルの「ノンスリップラバー」ノブ。滑りません。回しやすいです。

ただ、個人的には頭の径を小さくした方がしっくりくるけどね(ストラト使いなもんで)。

これ、ぱきっと引っこ抜くと裏にIBANEZの文字が刻まれてるんですよ。芸が細かいですね。っちゅーか、相当自信のあるノブだったのでしょう。当時はたくさん使われてたし。

ネックジョイント部。

なんか、「うなじ」ってところかな(^_^;
グラマラスなアーチバック構造がよくお解りになるかと思います。

バインディングはいい感じに「灼けて」おります。でも、ネックのオーバーバインディングはそれよりも明らかに白くて、ちっとちぐはぐな感じがします。材質が違うのかなー?

 そんなSVですが、音はこれまたいい感じなんですよね。とても24年も前のギターとは思えないほど。ボディーそのものの鳴りがすごく良いこともあって中、低音が実に豊かに沸き上がります。決してトレブルが甘いのではなくて、下が出ている音なのです。
 ふぅむ。セミアコはやっぱりこうじゃなくちゃ!当時フュージョン系でもてはやされた理由がよくわかりますねー。なんたって音づくりの幅がめっちゃ広い!全域が豊かだから、要らないところを絞ればイイだけなのです。どんなに上質なイコライザーを使っても「はじめから出ていない音はブースト出来ようもない」んですから。


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